あの日以来すっかりカルタンとは仲良くなっていた。
丁度夏も終わり、秋を通り越して冬が来た感じに肌寒い季節になり布団から出るのも億劫になる。
「ううー寒い」
俺は布団を何時の間にか体から剥いでいた、寒さに目を覚ますとすぐ近くに安らかな寝息を立てているカルタンの姿があった。
重い頭を擡げ時計を探すと早朝6時、もう少し寝ていたいきもするが学校に行く時間を考えるとそうもしていられない。
「さて・・・と」
俺はノロノロと布団からはい出しコタツのスイッチを入れる。
6畳一間でテレビと箪笥、コタツ以外何も無い簡素な部屋に特別に目立つものを見る。
夏の名残、海水浴に行った時に買った浮き輪とコタツの上の記念写真。
幸せな毎日だったと思い出し、ついつい笑みがこぼれてしまう。
そんな事を考えているうちに刻々と時間が過ぎ少し早めの朝食を摂る事にする。
昨日の残りの野菜炒めと冷えた飯を冷蔵庫から取り出しフライパンの上で混ぜ合わせチャーハンのようなものにする。
俺はお皿に盛り付け、キッチンの収納箱からスプーンを取り出し食事をする。
「良い匂い・・・」
コタツの方からカルタンの小さな声が聞こえた。
「おはようカルタン一緒にご飯食べる?」
スプーンでチャーハンを一口分すくい近づいてくるカルタンに差し出す、カルタンは小さな口を開けてそれをパクッと口の中に入れる。
「うん!一緒にたべゆ!」
口の中に物が入っているため舌っ足らずな口調になってはいるがそれでも元気万点だった。

カルタンを交えた食事が終わり俺は制服に着替える。
後ろでカルタンが何かを一生懸命にこしらえている、何だろうと覗いて見るとカルタンは慌ててサッと隠す。
「何をしてるんだい?」
カルタンの頭に手を置き優しくなでる、がカルタンは「だめよぅ」と一言いって俺から離れていった。
俺は着替えて鞄を持ち「さて、そろそろ行くかな」と言った時カルタンがダダをこねた。
「パパ、今日はカルタンも一緒に学校に行く」
俺はもちろん「駄目だよ」と言ったが、今日のカルタンは頑固だった。
「だって寂しんだもん!パパとずっと一緒が良いの!」
カルタンは少し怒ったように言った、が俺は「ゴメンねカルタンでも駄目なものは駄目なんだ困らせないでくれよカルタン」
と言い返す。
カルタンは少し寂しそうな顔をして「うん・・・わかったよ、ごめんねパパ・・・・・・」
俺は少し罪悪感を持ったがカルタンの頭を少し荒く撫で部屋を後にする。
「ゴメンな・・・カルタン・・・」
俺は静かに呟き最寄の駅まで歩みを進めた。

最悪な状態だった。
電車の中は人、人、人、の満員状態、座ろう何て甘い夢状態だった。
外を見ると景色は早々と過ぎて行く。俺は早く着かないかな、と心の中で呟いた。
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